あいまいな概念の「日常会話」
2019/03/16
英語を学ぶという話になると「日常会話程度」という表現が大手を振ってまかり通ります。戦後の昭和20年代からずっとそうでした。この日常会話というのは、どんな会話なんでしょうか。家族と生活する日常をむりやり思い起こしても、特段内容ある対話なんてしてないんじゃないでしょうか。じゃ「ただいま」なんて英語になるんですかね? 'Hi, I'm home!'ですか? どうもわかりません。スマホなんか出現する前から、道を尋ねるなんて日常はないし、天気も人となんか話しません。我々人間が日常必要とする言葉は極めて現実的で有用なもののはずです。「父が検診で胆石が見つかったんだが、腹腔鏡手術で数日で退院できるらしい。」は日常会話ですし、金銭の加減乗除、家屋内部の損傷や不具合、食材や調理なども日常といえます。英会話学校はどういう認識なんでしょうか。日常生活の意思疎通は個々に異なるものであり、時々刻々変化し、流れていくのですから、対話能力の基準も変わるのであって、それらを第二外国語に変化させる能力もまた個々にちがうのがあたりまえです。英語雑誌や新聞を教材にしなければならないひともいれば、実際に発した音声を録音したほうがはやいひともいます。「日常」でくくれるほど、人間のコミュニケーションは単純ではないように思います。