歳を取るにつれ、独学がベターな選択となる理由 ①
だれもが納得する第一の理由は、時間の余裕・自由が減少することでしょう。雑事に包囲されるだけでなく、時間そのものも速く経過するようになります。第二以下はこの事実から派生するため、順不同ながらどれも必然といえます。まず、10・20代当時の熱量を喚起することができない。従って熱量に平行して若いときにはあった夢と自信が半分がた失われている。集中力が比較にならない。片想い・失恋とりまぜて恋愛や性的動機と連動した血気も人生半ば過ぎて今頃あるわけもない。、、、等々キリのない話ではあるのですが、では、それらが「習う」状況にいかなる不利をもたらすか、が本編の論点です。もちろんすべて一般論ですが、まず当事者本人が「自分には基礎がない」または不足している、と勝手に決め込んでいるのをよく見かけます。専門性のない街の音楽教室にはおいしい市場です。基礎と言ったって考えようで種々あるわけで、これは音楽も語学もまったく同じです。なにをもって初級だの中級だのを決めるのか。あえて語学でいえば、品詞・5文型・句と節について短期間の体系的理解が期待できる人は、単熟語や読力対話力にかかわらず中級でスタートしてよいのです。音楽も、これがないと独力で進めることは大変ですよ、といういくつかの要件においてどの程度の割合を満たしているかが問題であって、テキストのレベルをどうのということではありません。「順逆二門なし」という言葉があって、なにを先にやろうと出口はひとつ、という現実は語学や音楽にはいくらでもあります。